所得税納税企業のデータと照合 厚生年金未加入企業への指導強化
厚生労働省は、本来は厚生年金の適用事業所であるにもかかわらず未加入である事業所について、国税庁から納税情報の提供を受けて特定をおこない、加入指導を強化する方針を示しました。
◆未加入事業所は約80万社
厚生年金は、株式会社など法人の事業所は従業員の人数にかかわらず(事業主のみの場合も含む)強制適用、個人の事業所は常時5人以上の従業員がいる場合(一部例外あり)に強制適用となっています。
しかし、特に中小企業などでは重い保険料負担を避けて加入せずにいるケースも見られます。厚生年金の運営業務をおこなう日本年金機構では、これまでにも法人登記簿を活用するなどして未加入の事業所の把握を進めてきましたが、ペーパーカンパニーや休業中の企業が多く含まれていたため、効率的に未加入事業所を特定することができませんでした。
そこで、国税庁に所得税を納めている企業情報の提供を求めることにしました。提供を受けるのは、所得税の源泉徴収をおこなっている企業の名称、所在地、給与支給人員で、このデータと厚生年金の加入企業のデータを照合することによって、効率的に未加入企業の特定をおこなうとしています。
所得税は納めているのに年金・保険料を支払っていない事業所は約80万社、本来厚生年金に加入すべきなのに加入できていない会社員は数百万人いるとみられています。
◆立ち入り検査も
日本年金機構は年内に国税庁からデータの提供を受け、今年度内をめどにデータ照合を実施、照合が終わりしだい来年度にも未加入事業所を特定して文書や電話で加入を求めるとしています。応じない場合は訪問指導や年金事務所への来所要請、立ち入り検査などをおこない、来年度から数年で全事業所の加入を目指すとしています。
厚生年金保険法では、立ち入り検査を拒んだ場合6カ月以下の懲役か50万円以下の罰金を科すことができるとされています。