大学卒業後の就職先、「正社員で無くても就職できれば」を肯定する親は1割足らず
ベネッセは2012年9月11日、大学生の保護者に関する調査結果を発表した。それによると調査母体のうち子供の学年が大学1~3年生の親においては、子供の卒業後の進路に関して「(就職できるのなら)正社員でなくてアルバイト・パート・非常勤職員などの非正社員でも良い」と考えている人は1割にも満たないことが分かった。現実には男性1割強・女性3割強が「大学(以上)卒」の学歴を持ちながらも非正規雇用の就労状態にある現状だが、親としては「正社員として働いてほしい」との想いが強いことが分かる。
今調査は2012年3月24日から27日にかけて、日本の大学1~4年生の子供を持つ保護者に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は6000人。男性保護者(父親)と女性保護者(母親)は1対1、子供が在籍している大学の入試難易度(偏差値)「55以上」「50~54」「45~49」「45未満」に区分し、それぞれの実数人数に近い比率になるように、回答を回収している。
調査母体のうちすでに就職先が決まっているであろう大学4年生の子供を持つ親をのぞき、大学1~3年生の子供を持つ親に対し、自分の子供が卒業したあとの進路に関する考えを尋ねた結果が次のグラフ。元資料では12項目が挙げられているが、今回は5項目のみを抽出した。
非正規雇用労働者比率の増加が問題視される昨今だが、大学に子供を通わせる親の立場からすれば、「就職できるのなら正社員で無くとも、パートなどの非正社員でも良い」とする人は1割にも満たない。「どちらともいえない」も2割を切り、7割以上が否定している。やはり職そのものの不安定さに加え、「せっかく大学まで進んだのに」という思いが強いのだろう。
就職市場の厳しさは親も強く認識しているようで、「子供がやりたい仕事、やりがいのある仕事以外でも、就職が決まるのなら御の字と思うべきだ」言い換えれば「とにかく職に就きなさい」という意見に同意する人は1/4を超えている。逆に安定という点では最上位につくであろう(そして少なからぬ人が「やりたい仕事」とは異なるであろう)「公務員」を望む親も1/4ほど。思ったほど多くは無い。
就職先としては「大企業」「中小企業」という企業の規模別での選択もある。一般的に大企業ほど安定して経済的にも恵まれるが、就職までのハードルは高く、自由度は少なく、就労者本人がしたいことを思うように出来ない事例が多い。この企業規模に関しては、「将来性があるならば」という前提付きながら、「中小企業でも就職してほしい」とする意見の方が「大手企業」よりも高い値を示している。リストラ相次ぐ昨今の情勢を見極め、自分の子供には企業の規模よりも将来性のある、つまり首を切られないような職場に勤めてほしいとの親の想いが見えてくる。
ちなみに【正社員率は6割強…働き人達の正規・非正規社員率をグラフ化してみる(2011年分反映版)】によれば、2011年において大卒・大学院卒の学歴を持つ人のうち、男性12.5%・女性は35.1%が非正規社員である。
女性は子供がいる世帯におけるパート・アルバイトなどの事例もあるため、割り引いて考える必要がある。とはいえ男性だけを見ても、大学卒以上でも1割強が非正社員。厳しい世の中であることを再認識させられると共に、だからこそ親としては正社員として勤めてほしいと考えるのだろう。