厚労省研究会にて派遣法規制強化を論議
厚生労働省は17日、労働者派遣制度に関する研究会を発足させ、制度見直しの議論を始めた。改正労働者派遣法は先の通常国会で成立したが、政府原案にあった「製造業務派遣の原則禁止」などは削除された。「骨抜き」とも批判されており、研究会の発足は、抜け落ちた規制強化案の「復活」を目指す民主党の意向が反映されている。それでも自民、公明両党は見直しに慎重で、再改正の見通しは立っていない。
10月1日施行の同法は雇用の安定化を目指す内容で、柱は「日雇い派遣の原則禁止」。ただ、製造業務派遣や仕事のある時だけ契約する登録型派遣の原則禁止は、「企業経営を圧迫する」という自公両党の反発で原案から削除された。リーマン・ショック後に横行した「派遣切り」への対応策だっただけに、民主党は同法の付帯決議に製造業務派遣などの原則禁止を再度議論する考えを盛り込むことで法案修正に応じ、再改正へのとっかかりを残していた。17日に発足した研究会は、その付帯決議を受けたものだ。
同日の議論では、派遣法制定(1985年)当時との時代の変化を踏まえ、見直しを求める声も出された。こうした声を受け、厚労省は派遣期間に制限のない、通訳、添乗など「26業務」の見直しを検討する。来年夏までに論点を整理した後、厚労相の諮問機関、労働政策審議会で検討する意向だ。しかし、製造業務派遣などの禁止については経済界に反対論が強く、自民党の姿勢も固い。
◇派遣法見直し 主な論点◇
・登録型派遣の禁止
・製造業務派遣の禁止
・派遣期間に制限のない「26業務」の在り方の見直し
・派遣先企業の責任について
・派遣労働者の処遇改善策