労働局の相談体制を強化する方針 事業主が講ずべき9つの措置とは セクハラによる通院が増加
職場のセクハラについて被害者が労働局に相談を寄せるケースが増えています。厚生労働省によると、事業所が集中する大規模な10地域の労働局において、セクハラに関する紛争解決援助や調停は右肩上がりで増加しており、平成24年以降もこの傾向は続くと見られています。
中でも、セクハラ被害を受けたが、事業主の事後対応が適切におこなわれないためにうつ病などを発症する深刻なケースが増えているといいます。こうしたケースの対応には時間がかかるため、同省ではセクハラ専門の相談員を平成25年度から大規模10局で増員し、相談体制を強化する方針です。
◆セクハラ対策は企業の義務
男女雇用機会均等法では、セクハラ対策として雇用管理上必要な9つの措置を講じることを事業主に義務づけており、これに違反し、是正勧告にも応じない場合は企業名を公表できることになっています。しかしながら、相談窓口はあるが相談しづらい、あるいは対応方法が定められていないため、相談があっても放置したり、当事者間の解決にゆだねるなど、適切に対応されないケースも多く見られます。セクハラは職場全体の勤労意欲を低下させ、訴訟に発展するリスクもある大きな問題と認識、解決・防止に取り組むべきでしょう。
◆事業主が講ずべき9つの措置とは
①セクハラに該当する行為と会社の方針を周知する
②セクハラ行為をした者には処分をおこなうことを周知する
③相談窓口を設置する
④相談窓口担当者が適切に対応できるようにし、広く相談に対応する
⑤事実関係を迅速かつ正確に確認する
⑥行為者および被害者に対する措置を適正におこなう
⑦再発防止に向けた措置を講ずる(事実が確認できなかった場合も同様)
⑧相談者・行為者等のプラバイバシー保護に必要な措置を講じ、周知する
⑨相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由に不利益な
取り扱いを行ってはならない旨を定め、周知する