人事・管理職へ寄せられる相談の約9割「部下のパフォーマンス」に関わるもの
従業員支援プログラム(EAP)を提供するピースマインド・イープ株式会社(以下、当社)では、当社の調査・研究機関である国際EAP研究センターにて、2012年4月~12月間の当社EAP利用者における”上司や管理職による部下のケア”の活用実態について分析いたしました。
※上司が、部下の心の健康づくり対策のために行うメンタルヘルスケア、”ラインによるケア”(ラインケア)
厚生労働省の『事業場における労働者の心の健康づくりのための指針』において、心の健康づくり計画の実施に当たっては、「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び「事業場外資源によるケア」の4つのメンタルヘルスケアを組織的に取り組むべきであると提案されています。そのうちの「ラインによるケア(以下、ラインケア)」とは、上司や管理者が行う対策を指します。
■ 調査結果のポイント
1. 当社EAPにおける相談の半数がラインケア
今回の分析において対象とした1,444件の相談種別内訳を見ると、自主相談(※1)51%、紹介相談(※2)25%、人事・管理職相談(※3) 24%と、ラインケアに該当する紹介相談と人事・管理職相談の合計が49%と約半数を占めた。当社EAPは従業員個人のカウンセリングだけでなく、ラインケアとして活用されていると言える。
2. 製造業はラインケアでの利用が6割を占め、他業種よりも活用している
上記件数のうち、年間50ケース以上の相談がある業種について、相談種別の内訳を見ると、製造業ではラインケア利用が6割以上と過半数となっており、他の業種と比較して高い比率となっている。この比率から、製造業では管理者と従業員の縦のつながりが明確であるため、ラインケアを活用しやすいと考えられる。
3. 人事や管理職からの勧めによる紹介相談は職場に関わる相談が9割。休職・復職の相談は自主相談の1.8倍
自主相談と紹介相談の相談内容を比較すると、職場に関する相談が自主相談で約7割であるのに対し、紹介相談では約9割に達していた。相談内容の詳細を見ると、紹介相談では「休職・復職問題」の利用が多く、件数にして自主相談の1.8倍に及んだ。プライベートに関する事項は従業員の自主性に任せ、業務への影響が大きい内容では紹介相談を利用する傾向が読み取れる。
4. 人事・管理職の相談では、部下のパフォーマンスに関わる相談が9割近くを占める
管理者向けの相談窓口である人事・管理職相談では全体の9割以上が「部下についての相談」であった。内訳を見ると、業務に影響のある「パフォーマンス問題あり」が53%、「休職・職場復帰」が33%と、全体の9割近くがパフォーマンスに関わる相談であった。このように、当社顧客企業においては、業務に実質的な影響が生じると管理者単独での解決が難しく、外部EAPと連携して対応にあたる傾向が顕著である。スタッフ等によるケア」及び「事業場外資源によるケア」の4つのメンタルヘルスケアを組織的に取り組むべきであると提案されています。そのうちの「ラインによるケア(以下、ラインケア)」とは、上司や管理者が行う対策を指します。
※1 自主相談:従業員が自分から進んでカウンセリングを受ける窓口
※2 紹介相談:従業員が上司や人事、産業医から紹介されて(あるいは提案されて)カウンセリングを受ける窓口
※3 人事・管理職相談:上司や人事に対してコンサルテーションを行う窓口