企業の女性活用度調査 上位企業の取組みは?
先週、少子化対策を検討する内閣府の有識者会議「少子化危機突破タスクフォース」が、妊娠・出産の正しい知識を女性に広めるための「生命と女性の手帳」(仮称)の導入を提案したことが話題になりました。政府による個人の生き方介入だとの批判の声もあり、施策の議論はありますが、少子高齢化対策は社会にとっても、企業にとっても看過できない問題となっています。
労働政策研究・研修機構のシミュレーションでも2030年の労働力人口は、2010年の6,632万人と比較して954万人減少すると見込まれています。4月に施行された65歳までの雇用延長を企業に義務付ける「改正高年齢者雇用安定法」も受け、65歳定年制への変更に着手する企業もでてきていますが、再雇用制度の見直しの必要もでてくるでしょう。
企業が中長期的に安定して労働力を確保していく上では、高齢者はもちろん、女性を積極的に活用していく必要があります。先日発表された日経WOMANが実施した「企業の女性活用度調査」を見てみると、女性管理職比率の平均は8.4%と前回、前々回の6.9%からアップしています。管理職登用度、ワークライフバランス度、女性活用度、男女均等度の4部門で構成されるこの調査の総合ランキング上位は、1位が日本IBM、2位が資生堂、3位が第一生命保険となっています。上位の企業では生え抜きの女性役員がおり、女性部長比率が15%を超えた企業が4社、女性管理職比率30%以上が5社と一部のできる個人の登用ではなく、組織として女性の活躍のステージを用意できている企業が上位となっています。
これらの企業での取り組みを見てみると、女性向け/男性上司向けの研修に加えてワークライフバランス推進の組織・プロジェクトがある、ノー残業デーの設定などの制度面の拡充に加えて、育休復帰後も完全バックアップし、長く働ける風土を醸成することができているようです。育児休業取得中の社員のサポートを充実させて、復帰後の不安を取り除くようなコミュニケーションを行うのは、大変な取り組みに捉えられがちです。しかし、採用や育成を一からし直すことを考えれば、自社の社員が安心して、長く活躍していく環境を整えることは中長期的にみても自社にとっては得るものが多いと言えるでしょう。
女性が活躍する会社上位20社(調査結果より抜粋)
1位 日本IBM
2位 資生堂
3位 第一生命保険
4位 ノバルティス ファーマ
5位 住友生命保険
6位 パソナグループ
7位 大和証券グループ
8位 野村証券
9位 明治安田生命保険
10位 日本生命保険
11位 P&G
12位 リコー
13位 三菱東京UFJ銀行
14位 高島屋
15位 パナソニック
16位 ベネッセコーポレーション
17位 ソニー
18位 アクセンチュア
19位 東京海上日動火災保険
20位 NTT西日本