新入社員向け研修の最新動向
6月に入り、4月入社した新入社員の皆さんも組織や仕事にも慣れてきた時期でしょうか?毎年、新入社員向けの研修で珍しい取り組みをされている企業が話題になりますが、よりたくましく、自律的に動く意識を持ってほしいという目的から、「体験型」の研修を実施する企業が増えているそうです。
例えば、2人1組でのヒッチハイクや、陸上自衛隊での合宿を行うなど、頭で考えるだけでなく、実際に行動して「強い気持ちをもってやりきる」ことや「最初は難しいと感じたことを達成することで成功体験や自信を得てほしい」というのが会社、人事部側の意図のようです。自衛隊の訓練に参加した社員からは、「基本教練などで、全員で動きを合わせるのが大変だった。時間管理の大切さを鍛え直してもらった」などの声も聞かれており、社会人としての自覚の醸成にもつながっているようです。
このように単発でインパクトのある取り組みは、心理的な刺激となり「気づき」の機会になることはもちろんですが、やはり継続的な育成には、個別の知識やスキルを強化していくことが重要になります。知識やスキルの強化というと、集合研修を実施することが多いようですが、最近は、e ラーニングの利用率も多くなってきています。矢野経済研究所による企業向け研修サービス市場に関する調査結果 2012でも、研修サービスを利用する企業の53%が「e ラーニング(インターネット・イントラネットに接続されたPC を使った学習)」を実施しており、「通信教育(テキスト等、DVD 等による自己学習)」の利用も46%に上るとされています。中小企業の場合は特に、新入社員の人数が多くないため自社での単独の研修実施は難しくても、e ラーニングや通信教育の遠隔教育では各自のペースに合わせて学習機会を提供しやすい、という事情もあるでしょう。また、e ラーニングのシステムでは、対象者が学習を進めるだけでなく人事部側でも進捗を把握しやすく、学習が進んでいない社員に対しても、指摘をしやすいというメリットもあるようです。
e ラーニングでも新入社員専用のコースも充実しており、ビジネスマナー、仕事の基本動作はもちろんのこと社会人のための文書作成とメールの書き方や会社の数字の見方などのプログラムも用意されています。これらのような「仕事をする上での基本」のプログラムは、内定者の時期に取り組んでおいてもらうという企業もあるようですが、早い時期に知識と基本の型を学ぶ機会を提供することで、その後の職場への適応がスムーズになることが期待されます。集合研修との効果的な組み合わせで、武器となるスキルを提供していくことでより早期に戦力として活躍するためのサポートを行っていくとよいでしょう。