雇用促進税制は拡充、所得拡大促進税制が創出される
◆雇用促進税制(拡充)
<雇用者を1人増やすごとに40万円の税額控除>
雇用促進税制とは、雇用者数を増加させた場合に、法人税(個人事業主の場合は所得税)の税額控除が受けられる制度です。
今回、税額控除の額が、雇用者数の増加1人当たり20万円から40万円に拡充されました。ただし、法人税額の10%(中小企業は20%)が限度です。 なお、適用を受けるためには、あらかじめ「雇用促進計画」をハローワークに提出しておく必要があります。
<いつから適用される?>
拡充後の制度が対象になるのは、平成25年4月1日から平成26年3月31日までの期間内に始まる事業年度(以下「適用年度」といいます)です。なお、設立・解散(合併によるものを除く)の日を含む事業年度や清算中の事業年度については適用されません。
対象となる事業主は
制度の対象となるのは、次の要件を満たす事業主です。
①青色申告書を提出する事業主であること
②適用年度とその前事業年度に、事業主都合による離職者がいないこと
③適用年度に雇用者(雇用保険の-般被保険者)の数を「5人以上(中小企
業の場合は2人以上)」かつ「10%以上」増加させていること
④適用年度における給与等の支給額が、比較給与等支給額潔4以上であること
⑤風俗営業等を営む事業主ではないこと
<高齢者の取り扱いが変わります>
これまでは、適用年度中に一般被保険者が65歳に達し「高年齢継続被保険者」となったことにより、雇用者の増加の計算から漏れてしまい、税制の適用要件を満たす一般被保険者数を新規に雇っても適用されない可能性がありました。 平成25年4月1日以降に始まる事業年度以降は、このようなケースについては、高年齢継続被保険者を雇用者として扱うことが認められるようになりました。
◆所得拡大促進税制(新設)
所得拡大促進税制とは、従業員の給与等支給額を増加させた場合に税額控除が受けられる制度です。 国内雇用者に対する給与等支給増加額の10%を法人税の税額控除として申請できます。ただし、税額控除は法人税額の10%(中小企業等は20%)が限度です。 この制度は、平成27年度末までの3年間に利用できます。
制度が適用されるには、次の要件を満たす必要があります。
①給与等支給額が基準事業年度の給与等支給額と比較して5%以上増加していること
②給与等支給額が前事業年度の給与等支給額を下回らないこと
③平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回らないこと
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雇用を増やす場合は「雇用促進税制」、給与を増やす場合は「所得拡大促進税制」の適用を検討することができます。 給与を増やすときというのは事業が好調なときでしょうから、同時に雇用を増やすこともあるでしょう。しかし、「雇用促進税制」と「所得拡大促進税制」の両方を適用することはできず、いずれか一方を選択することになります。 「雇用促進税制」はハローワークヘの事前届出が必要ですが、「所得拡大促進税制」は確定申告の際に必要書類の添付が求められるだけで、事前手続きは必要ないので、使い勝手の良い制度と言えるかもしれません。また「所得拡大促進税制」は、事業主都合による離職者がいる場合でも、制度の利用が可能です。 ここに記載した以外にも適用要件がありますので、詳細はご確認ください。