改正労働安全衛生法が成立 50人以上の企業にストレスチェックを義務化
改正労働安全衛生法が6月19日に成立しました。主な改正点をご紹介します。
①全社員にストレスチェックを義務化
仕事によるストレスからメンタルヘルス疾患を発症する人が増えています。そこで、こうした疾患を未然に防ぐため、企業にストレスチェックを義務付けることとなりました(従業員数50人未満の会社は努力義務)。厚生労働省はストレスチェックの対象者を「基本的に健康診断の対象者と同様」と想定しています。施行は公布日から1年6カ月以内。どのようなストレスチェックが必要になるかについては、今後、厚生労働省がガイドラインを示す予定です。
【厚生労働省が公表したストレスチェック制度の概要】
・年1回、医師または保健師によるストレスチェックを実施
・検査結果を通知された労働者の希望に応じて医師による面接指導を実施
・医師の意見を聴いたうえで、必要な場合には作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な措置を講じる
②受動喫煙対策の推進
受動喫煙を防止するため、企業の実情に応じて適切な措置を講ずることを努力義務としています。以前に提出されていた法案ではすべての事業者に職場の全面禁煙または空間分煙を義務化する内容となっていましたが、義務化した場合は助成金など国の支援策がなくなりかえって取り組みが進まなくなる恐れもあるため、法案が修正され、「努力義務」となりました。同時に、国が援助に努めることも盛り込まれています。施行は公布日から1年以内とされています。
③重大な労災を繰り返す企業への対応
同一企業内で重大な労災が繰り返し発生し、その後も改善に取り組まないという事案が散見されるため、そのような企業に対して厚生労働大臣が改善計画の作成等を指示できる仕組みが創設されました。指示に従わない場合や計画を実施しない場合は、勧告や企業名の公表も可能となっています。施行は公布日から1年以内となっています。