労働時間を正しく理解 フレックスタイム制でよくある誤解
フレックスタイム制は、各日の出退勤時刻を労働者にゆだねる制度です。通勤ラッシュを避けることができたり、育児や介護と仕事を両立しやすくなる、自主性が尊重され魅力的な職場となるなど、うまく活用すれば大変便利な制度です。しかし、制度を誤解して間違った運用をしているケースもあります。いくつかご紹介しましょう。
■出勤時刻は自由だが8時間は勤務しなければならない
これはフレックスタイム制と時差出勤を混同しているものと思われます。フレックスタイム制では1ヵ月の総労働時間を決めておくだけで1日に何時間勤務するかは労働者の自由です。5時間で帰る日があっても、・他の日にたくさん働き、結果として1ヵ月のトータルで決められた時間働いていれば賃金をカットされることはありません。
ただし、「コアタイム」を定めることはできます。たとえば10時から15時をコアタイムと定めたのならその時間帯は必ず勤務しなければなりません。ちなみにコアタイムが長すぎるものは、実質的に労働者が出退勤時刻を自由に決めることができないのでフレックスタイム制とは認められません。
■朝礼をするから始業時刻だけ固定している
出退勤時刻を労働者にゆだねる制度なので、出勤時刻は固定で退勤時刻だけ自由にするということはできません。朝礼やミーティングをしたい場合はコアタイム内に設定しましょう。
■翌日の出勤時刻を申告させ遅れたら遅刻控除する
誰が何時ごろ来るのかだいたい把握しておきたいという趣旨であれば翌日の出勤時刻を申告させること自体は問題ありませんが、その時刻に遅れたからといってペナルティを科すのは問題でしょう。ただし、コアタイムに遅れた場合については、「減給の制裁」として賃金控除をおこなうことは可能です。この場合、就業規則の定めが必要です。
■遅く出勤してきたから深夜残業代は支払わない
フレックスタイム制でも22時~翌5時の間に勤務した場合は深夜割増が必要です。たとえその日の夕方に出勤してきたと場合でもです。遅く出勤してきた人に深夜残業代を支払うのは納得いかないという場合は、フレキシブルタイム(労働できる時間帯)を7時から22時など深夜にかからない時間帯に設定しておくとよいでしょう。