東京オリンピックがもたらす雇用インパクト-リクルートワークス研究所
2020年、東京オリンピックが開催されるその時に、日本で、東京で、人々はいきいきと働いているのだろうか?東京と同じ成熟都市で行われた2012年のロンドンオリンピックの経済・雇用影響をレビューし、東京オリンピックが生み出す人材ニーズを予測した人と組織の「新しいコンセプト」を提起するリクルートワークス研究所の政策提言の概要をご紹介します。
■日本は人材難に勝てるのか?
2020年の東京五輪に向けて、サービス業や建設業を中心に、約81.5万人の人材ニーズが発生する。この人材の確保が、五輪の成否を決めるところが、人口減少と景気の好循環が併行するわが国では、目下、深刻な人材不足が起きています。既に、有効求人倍率はバブル末期の高水準に達し、失業率もOECD(経済協力開発機構)が「完全雇用」と見なす域に入っている。その結果、人材不足を理由とした企業の倒産や事業計画の見直しが相次いでいる状況です。
五輪によって発生する人材ニーズには、大規模かつ一過性という大きな特徴がある。通常の人材ニーズのように、長期にわたって緩やかにニーズが生まれるのではない。しかも、複数の組織が、同時に、同じような人材を求める。今の雇用環境が続くなかで無計画に五輪を迎えれば、人材の確保は確実に失敗するとみられています。
■2020年人材ニーズ予測 産業別
- 東京オリンピックによって全国で81.5万人の人材ニーズが発生する
- 産業別には、建設業33.5万人、サービス業16.8万人が2大ニーズ 卸売・小売業8.5万人、飲食・宿泊業3.6万人も加えると、対人サー ビスの人材ニーズも大きい
■発生する人材ニーズの評価
- 人材ニーズは累積で81.5万人(2012年の就業者に占める割合1.3%)、 2020年に最多人材ニーズ25.8万人(2012年就業者に占める割合0.4%)
- 建設業や販売・サービス業は足元で既に人材獲得難 ⇒この雇用情勢が続けばオリンピックに向けて人材がさらに逼迫する
- 人材ニーズがあっても人材調達できる保証はない
リクルートワークス研究所