就活生と正社員のホンネ~両者で異なる会社に求めるものとは?~
日経HRは1月、「都内の大学・大学院生の就職活動」に関する調査結果を発表した。調査対象は都内の主要な大学・大学院に通う2014年3月卒業予定者455人。調査期間は2012年11月16~26日。
調査結果によると、企業にエントリーする際、重視するものについて複数回答で聞いたところ、最も多かったのが「業務内容」(48.1%)。以下、「将来性(43.5%)」「福利厚生(34.7%)」「社会貢献(25.1%)」「企業規模(24.0%)」などが続いた。昨年から順位にあまり変動がみられず、トップの「業務内容」については、調査を開始した2009年以降1位となっており、就職先を選ぶ上で学生が最も重視している項目のようだった。
また、新卒で入社した企業にどのくらい勤めたいかを聞いたところ、最も多かったのが「10年は勤めたい(40.2%)」だった。次いで多かったのが「定年退職まで勤めたい(35.2%)」で、以下、「5年は勤めたい(17.1%)」「3年は勤めたい(5.3%)」「3年以内で辞めるつもり(2.2%)」と続いた。過去4年間の調査結果をみると、昨年までは「定年退職まで勤めたい」が3年連続で最も多かったが、今回の調査では5.4ポイント減少して2位となった。
やりたい仕事のできる就職先を探すものの、大手企業の経営不振や人員削減を促す報道を耳にしたことで不安を感じ、入社後に定年まで働く姿がイメージできない、そんな学生像がうかがえる。
一方、すでに就職している先輩のホンネはどうだろうか。7日にエン・ジャパンが発表した調査結果によると、2012年12月10日から1月28日にかけて、運営する求人情報サイト利用者1,042名を対象に調査を実施したところ、84%の人が正社員で働いた経験があると回答した。
そこで、正社員として働いた経験があると回答した人に、正社員として働いて良かったことについて複数回答で聞くと、トップは「毎月固定の給料がもらえること(80%)」で、以下、「賞与がもらえること(75%)」「契約更新などを気にせず、安心して働けること(65%)」「福利厚生が充実していること(62%)」と続き、安定性や待遇に関する回答が上位を占めた。一方、「責任ある仕事を任せられること(34%)」「研修制度が充実していること(15%)」など、業務に関する意見は少なかった。
また、今後就きたい雇用形態について聞くと、87%の人が「正社員」と答えた。「正社員」と答えた人を対象に正社員として働く上で気になることや心配なことを聞くと、「希望と違っても、簡単に辞められない」「仕事の責任を果たせるか不安」「家庭と仕事、両立できるか気になる」などのコメントがあった。
2つの調査の仕方は異なるものの、入社前の学生が最も重視するのは「業務内容」である一方、多くの先輩社員は「安定した給与」に魅力を感じていることが明らかになった。社会に出ると、やはり現実面の方が重要なのかもしれない。