ビジネスパーソンの6割が勤務先の防災対策は不十分と評価
民間調査機関の財団法人労務行政研究所ジンジュール編集部は2月15日、「3.11大震災以降の職場と個人の実情に関するアンケート」の結果を公表しました。調査期間は2012年1月27~31日で、岩手、宮城、福島の3県を除く全国の20~59歳のビジネスパーソン485人からインターネットリサーチにより回答を得ました。
「出社困難時の対応ルール」不十分
勤務先でおこなわれている地震・災害対策について8つの施策の選択肢で尋ねたところ、「実施している(※)」と答えた割合が最も多かったのは「社内連絡網の整備」で64.4%でした。「震災後新たに実施」した割合は、「非常時向けの備品の購入・配置」が10.1%で最多でした。震災直後、ラジオや電池などが店頭から一斉に姿を消したことが記憶に新しいと思いますが、企業でもこうした備品の確保を急いだところが多かったようです。
※「震災前から現在の内容で実施」「震災後に従来からの実施内容を見直し」「震災後新たに実施」の合計一方、実施している割合が最も低い
一方、実施している割合が最も低いのは「災害で出社困難な場合の対応ルールの周知」で38.4%にとどまっています。社員の安全確保と事業継続の面からは、今後さらに対応の検討が必要なポイントの1つと言えるでしょう。
「対策が何もおこなわれていない」、「対策の内容を知らされていない」
勤務先でおこなわれている地震・災害対策全体についての評価を尋ねたところ、「十分である」と答えた割合はわずか4.1%、「ほぼ十分である」をあわせても全体の4割程度にとどまりました。対して、「まったく足りない」と答えた割合は28.0%と3割近くを占めています。「やや足りない」とあわせるとほぼ6割が勤務先の対策の現状を「不十分」と見ていることがわかります。これらの評価の理由を自由回答で尋ねた結果では、「対策が何もおこなわれていない」「対策の内容を知らされていない」という答えが多数を占めたほか、「会社(あるいは上司・管理者)の意識が低い」という厳しい指摘も少なからず見られました。
また、自分の周囲で震災の教訓に対する意識・関心が薄らいでいると感じている人が全体の6割にのぼっています。震災の教訓を風化させないために、
勤務先や社会に求められるのは「定期的な防災・避難訓練の実施」であると
いう意見が最も多く見られました。