復興増税とこれからの税制改正のポイント
平成23年12月2日に公布された平成23年度税制改正等により平成24年4月以降の法人税、所得税が変わります。なお、震災の影響から「復興増税」が創設されています。今回は、主なポイントを解説します。
◆復興増税のポイント
(1)法人税額の10%を3年間上乗せ
法人について、平成24年4月1日以降の3年間(最初に開始する事業年度開始の日から同日以後3年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度)、復興特別法人税が課されます。この額は、次の算式により計算した金額です。
復興特別法人税の額=課税標準法人税額×10%
※復興特別所得税額の控除など所定の税額控除があります。
(2)所得税額の2.1%を25年間上乗せ
所得税を納める義務のある個人について、平成25年1月1日以降に支払われる給与等から、復興特別所得税が課されます。この額は、次の算式により計算した金額です。
復興特別所得税額=基準所得税額×2.1%
※「基準所得税額」は、原則として全ての所得に対する所得税額
(3)欠損金の繰越期間の延長
法人の青色申告書を提出した事業年度の欠損金、および災害による損失金について、欠損金の繰越期間が各事業年度開始の日前7年以内から9年以内に開始した事業年度に延長されました。ただし適用されるのは、平成20年4月1日以降に開始した事業年度において生じた欠損金からです。また、帳簿書類の保存が要件に追加されています。
◆平成23年度税制改正のポイント
(1)法人税率の引き下げ
平成24年4月1日以降に開始する事業年度に適用される法人税率が次のとおり引き下げられました。ただし、3年間は復興増税が上乗せされるため、中小企業(800万円以下の部分)の場合、15%十(15%×10%)=16.5%になります。
(2)減価償却資産の償却率の変更
平成24年4月1日以降に開始する事業年度に取得した減価償却資産から、定率法の償却率が改正されます。定率法で償却する場合、初期の償却額が多く徐々に減少していきます。今回の改正では、この減少のカーブが若干緩和されます(現行定額法の2.5倍、改正後は2.0倍)。
(3)欠損金の繰越期間の延長
法人の青色申告書を提出した事業年度の欠損金、および災害による損失金について、欠損金の繰越期間が各事業年度開始の日前7年以内から9年以内に開始した事業年度に延長されました。ただし適用されるのは、平成20年4月1日以降に開始した事業年度において生じた欠損金からです。また、帳簿書類の保存が要件に追加されています。
◆平成24年度税制改正
平成24年3月31日に平成24年度税制改正が公布されました。平成25年分以降の改正の主なポイントは次のとおりです。
①給与所得控除に年間収入1,500万円(控除額245万円)の上限を設ける。
②役員の退職所得にかかる所得税の計算において、1/2の軽減を廃止する。