シニア向け WEB コンテンツはここまで進化した — ソニー生命「リタ活!」を試す
● 増加するシニア層のインターネット人口
ここ最近、シニア層のインターネット利用が急速に普及している。電通総研が発表した『シニア層のインターネット利用に関する調査』によると、60代のインターネット利用率は57.0%、70代のインターネット利用率も23.3%と高い。60代に関しては2010年のネット利用率と比較して10倍以上の伸びを見せている。シニア層がデジタルコンテンツを積極的に活用する時代がやってきたのだ。
このようなシニアユーザー層の増加に合わせて、彼らに様々な体験を提供しようとする企業も様々な工夫を凝らしたウェブコンテンツを次々にリリースしている。そのひとつが、ソニー生命が2012年6月25日に公開した、50歳以上のシニア層を対象にしたウェブサイト「リタ活!」だ。
● シニアをターゲットにしたウェブコンテンツも続々登場
「リタ活!」は、”シニアライフを前向きに楽しむライフスタイルを提案する”というコンセプトで開設されたウェブサイトで、50代から年代別のライフプランニングをアドバイスする「リタ活ガイドブック」、シニアライフに役立つ知識をクイズ形式で学べる「シニアライフ検定」、シニアライフにまつわる悩みなどを解決できる「リタ活相談室」などのコンテンツを展開している。
中でも興味深いのが、ユーザーの志向に合わせてパーソナライズされた情報を提供する「趣味のソムリエ」と「リタ活計画帳」という二つのコンテンツだ。
● ユーザーの志向にパーソナライズされたコンテンツを提供
「趣味のソムリエ」は、10個前後の質問に解答すると、自分のライフスタイルや考え方に合わせたお勧めの”趣味”を提案してくれるというコンテンツだ。例えば、仕事を生き甲斐にしてきたような人にとって、会社をリタイヤしてから日常をどのように充実させ、生き活きとした生活を送るかという課題に直面する人は少なくないはず。そういう人にとっては、新たな人生を楽しむ”きっかけ”をつかむことができるコンテンツだと言えよう。
そして、この「趣味のソムリエ」とも連携したもうひとつのコンテンツ「リタ活計画帳」は、その名の通り、50代からの自分自身が”やりたいこと”を計画表にして、それを冊子にして持ち歩くことができるというものだ。
● 自分自身のシニアライフを設計できる「リタ活計画帳」
「リタ活計画帳」で作成する”計画”は、全てを自分自身で計画するタイプと、「シンプル」「バランス」「ゴージャス」というタイプ別の雛形から計画を立てられるタイプの2種類ある。筆者は全てを自分自身で計画するタイプに挑戦してみた。
計画帳に入力できるのは、自分自身が”これからやりたいこと”だ。「日々を楽しむ」「想いを伝える」「これからの準備をする」という3つの分類から、自分が将来やりたいこと、やっておきたいことを選択・入力し、それを50代から90代までの”いつから、どれくらいの期間”行いたいかをタイムラインに並べていく。そして、シニアライフにおける病気やケガといったリスクのシミュレーションができるのも特徴的で、最終的に自分自身が作成した計画と、その実現に必要な費用をまとめた「計画帳」を生成してくれるのだ。
筆者が「リタ活計画帳」で自分の人生を計画してみて感じるのは、色々な選択肢を目の前にすると「これもやってみたい」「あれも挑戦してみたい」というモチベーションが湧いてくる点と、その一方で「時間とお金は有限である」という現実の厳しさだ。筆者はまだ”シニア”ではないが、今から時間やお金の価値、有意義な人生の過ごし方について改めて考えさせられるきっかけとなった。実際に「リタ活計画帳」で計画を立ててみれば、それが自分自身の人生を最高なものにするための道標になってくれるはずだ。
● デジタルとアナログ、それぞれの利便性を融合させたサービス
ところで、この「リタ活計画帳」の面白い点は、「計画帳」を作成して終わりではない点だ。作成した計画帳は、PDF ファイルでダウンロードすることができ、印刷すればそれをミニ冊子にして持ち歩くことができるのだ。
ネットで体験したコンテンツをリアルな”冊子”という形にできるという点は非常に興味深いが、このようなデジタルとアナログを融合させたサービスは、例えば書いた内容をスマートフォンに取り込めるメモ帳に代表されるように、現在のデジタルサービスのトレンドのひとつと言える。「リタ活計画帳」は簡単にコンテンツを作成できるというデジタルの利点と、持ち歩きながら何時でも何処でも見ることができるというアナログの利点、その両者を上手く融合させたサービスだと言えよう。
今回紹介したソニー生命のウェブサイト「リタ活!」が提供しているサービスのような、”デジタルとアナログの融合”は、シニア層向けのみならず今後のデジタルコンテンツのひとつのトレンドになるものと思われる。