“空気を読む”だけではダメ?今の若者が本当に「身につけたい能力」とは
若者がキャリアアップのために必要だと考えているスキルは、「海外ボランティア」経験で身につく――。こんな調査結果を、トレンダース(東京都渋谷区)が運営する「トレンド総研」が発表した。今年もまもなく新入社員が入社する季節がやってきたが、不況の下で育った若い世代は、国際化の波が押し寄せる中で、今後どのようなスキルが有効だと感じているのだろうか。
調査期間は2013年2月27日~3月1日。調査方法はインターネット。調査対象は、大学卒業から5年以内の就職活動経験ありの就業者男女500人(性別・社会人年数均等割付)。
若者が身につけたい能力は「海外ボランティア」で得られる?
調査によると、若者が今後のキャリアのために身につけたいスキルは、「コミュニケーション力」(44.6%)、「語学能力」(44.4%)、「働きかけ力」(37.0%)、「主体性」(36.8%)、「異文化適応力」(33.8%)だった。最も選ぶ人が少なかったのが「忍耐力」(27.2%)。「状況把握力」(28.0%)や「柔軟性」(28.6%)も選ぶ人が少ない傾向となった。「空気を読む」ことの重要性がよく問われる現代だけに、「状況把握力」や「柔軟性」はもうそれなりに身についていると考えている人も多いのかもしれない。
また、トレンド総研が2012年3月に行った調査よると(調査対象は3ヵ月以上海外ボランティアの経験がある300人)、「海外ボランティアを経験したことで身についたと感じる能力」では、「今後のキャリアのために身につけたいスキル」のうち、コミュニケーションに関する3つのスキルが高いポイントをつけた。その3つのスキルとは、「コミュニケーション能力」(75.5%)、「異文化適応能力」(74.5%)、「語学能力」(53.2%)だ。
トレンド総研では、「海外ボランティアで得られる能力は(若者が)今後のキャリアのために身につけたい能力と近い」と分析している。海外経験は、語学力はもちろんのこと、これまでとは全く違う環境で異なる考え方をする人と出会う絶好の機会だ。どのような環境の中でも自分の能力を発揮できる適応力を、早い段階で身につけておきたいと考える若者は多いようだ。
「主体性」「働きかけ力」…企業が新入社員に求めるスキルとも一致
それでは、企業側は新入社員にどのようなスキルを求めているのだろう。LEGGEDA(新宿区)が2012年5月30日~6月6日に企業の採用担当者149人に調査したところ、上位3つは「主体性」(81.9%)、「実行力」(51.0%)、「働きかけ力」(27.5%)という結果に。「主体性」を求める企業が目立って多く、自ら率先して動ける人こそ、多くの企業が求める人材だということがわかる。「主体性」と「働きかけ力」は、若者が今後身につけたいスキルの上位5つにも入っており、「実行力」も「創造力」についで7番目で、33.2%の人が選んでいる。
LEGGEDAの調査とトレンダースの調査では、選択肢に若干の違いがあり、LEGGEDAの調査では「コミュニケーション力」や「異文化適応力」などの選択肢がないので正確な比較はしづらい。しかし、両調査で上位に選ばれたスキルが似通っていることからすると、企業が求めるものと、若者が必要としているスキルは乖離していないと言うことができそうだ。
逆に言えば、現状で足りていないスキルとも言える「主体性」「実行力」「働きかけ力」。あなたの会社の若手社員には、備わっているだろうか。