短時間労働者の多様な実態に関する調査 無期パートは有期パートより満足度高い

今年5月、独立行政法人労働政策研究・研修機構が『短時間労働者の多様な実態に関する調査』結果一無期パートの雇用管理の現状はどうなっているのか-」を公表しました。

労働契約法が改正され、今年4月から、反復更新により通算5年を超える有期労働契約は、労働者からの申し込みにより無期労働契約へ転換される仕組みが導入されています(以下「有期契約」「無期契約」といいます)。この調査では、短時間労側者の、とりわけ無期契約と有期契約の違いに焦点をあて、事業所の雇用管理の実態や、短時間労働者の仕事・処遇の受け止め方などの現状を把握・分析しています。

 今回の調査では、無期雇用の短時間労働者(以下「無期パート」といいます)について、これまで混同されることの多かった短時間正社員や定年再雇用パートなどと明確に区分した上で、その活用状況を把握しました。その結果、無期パートは中小規模、有期パートは大規模の事業所に多いことがわかりました。中小規模の事業所がパートを無期雇用にしている理由は、「長期勤続を期待しているから」「恒常的・定常的な業務に就かせているから」など、戦略的な要因が多く、「手続上、特に契約期間を定めることはしていないから」といった手続き上の要因を大きく上回っています。

 

無期パートは満足度が高い

企業規模による影響を排除するため、有期パートと無期パートの両方を雇用している企業における有期・無期の雇用管理の違いを比較したところ、所定労働時間については無期パートの方が有期パートより短い傾向が見られました。業務や戌任、人材活用が正社員と同じである割合についても、無期パートが有期パートを上回っています。賃金水準も無期パートが有期パートを上回る結果となりました。

その結果、平均勤続年数は有期パートが3.64年のところ、無期パートは6.85年と顕著に長くなっています。パート自身の処遇の受け止め方を見ても、個人屈性や就労理由、家計依存度などにかかわらず、無期パートの満足度は有期パートを上回っていることがわかりました。

 

不満の理由は不安定感

 無期パートの満足度はなぜ有期パートより高いのでしょうか。雇用状況別に仕事・会社に不満である理由をみたところ、特に有意な違いがあったのは、「会社からいつ解雇・雇い止めされてもおかしくない」ななどの結果となりました。

活用戦略にあった雇用契約を

 こうした満足度の違いは、有期契約の反復更新による、実態としての長期勤続では得られない効果のようであり、無期パートの仕事・会社に対する満足度は、有期パートで10年以上勤続している者の満足度を上回っていました。このことは、基本的に中長期の雇用を予定しながら無期雇用へ移行させない理由を「現状で特段、支障がないから」(58.7%で最多)などとしている事業所にとって、今後の労働契約管理を考える上で大きなヒントとなるでしょう。

また、労働契約法の改正にともない、更新回数や勤続年数に上限を設ける事業所が増えることも予想されますが、何らかの上限がある事業所では、ない事業所より明らかに満足度が低くなっています。


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