社員のストレスチェック義務化!必要な対応とは?
平成 26 年 6 月 に可決・公布され、労働安全衛生法の一部を改正する法律において、医師、保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を実施することが、従業員50人以上の事業者に12月から義務付けられます。
◆新たな制度のポイント
・事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を行わなければならない。※1年以上雇用が見込まれるなど一定の条件を満たした契約社員やパートなども対象となる。 ・検査結果は、検査を実施した医師等から直接本人に通知され、あらかじめ本人の同意を得ないで、検査結果を事業者に提供してはならないこと。 ・事業者は、検査結果の通知を受けた労働者のうち、厚生労働省令で定める要件に該当する労働者から申出があったときは、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならないこと。 ・事業者は、申出を理由として、不利益な取扱いをしてはならないこと。 ・事業者は、面接指導の結果に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴き、その意見を勘案し、必要があると認めるときは、就業上の措置を講じなければならないこと。 改正労働安全衛生法のポイント|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト(うつ病・自殺対策を含む)|厚生労働省
◆ストレスチェックの実施方法について
(1)実施者
・ ストレスチェックの実施者(以下単に「実施者」という。)としては、医師、保健師のほかに、厚生労働省令で定める者として、現時点では、看護師、精神保健福祉士が想定されているが、現在国会で継続審議となっている公認心理師法案の状況等を踏まえる必要がある。
(2)実施方法
・ 1年以内ごとに1回以上、実施することが適当である。
・ 調査票によることを基本とし、面談による方法を必須とはしないことが適当である。
・ 一般定期健康診断と同時に実施することも可能とすることが適当である。この場合、ストレスチェックについては、労働者には検査を受ける義務がないこと、検査結果は本人に通知し、本人の同意なく事業者に通知できないことに留意する必要がある。
・ 実施に当たっては、産業医が関与することが望ましい。
・ 労働者に対し、ストレスチェック制度の目的や情報の取扱について事前に十分説明し、理解を得ることが重要である。
(3)実施者の役割
・ 実施者は、事業者からの依頼に基づき、最低限、当該事業所におけるストレスチェックの企画及び結果の評価に関与する必要がある。
・ ストレスチェックの企画に係る実施者の役割には、項目の選定を事業者と連携して行うことを含み、結果の評価に係る実施者の役割には、評価基準の設定(又は選定)を事業者と連携して行うこと及び個人の結果の評価(ストレスチェック結果の点検、確認、面接指導対象者の選定等)を含む必要がある。
(4)ICTを活用したストレスチェックの実施
・ インターネットまたは企業内のネットワーク(イントラネット)等ICTを活用したストレスチェックの実施については、実施に当たって、以下の3点について担保されている場合は、実施可能とすべき。
① 事業者及び実施者において、個人情報の保護や改ざんの防止(セキュリティの確保)のための仕組みが整っており、その仕組みに基づいて実施者において個人の検査結果の保存が適切になされていること。
② 労働者以外にストレスチェックの結果を閲覧することのできる者の制限がなされている(実施者以外は閲覧できないようにされている)こと。
③ 実施者の役割が果たされること
(5)事業場の総合的なメンタルヘルス対策との連携
・ 事業者は、ストレスチェックを、当該事業者における総合的なメンタルヘルス対策の一環として位置付けることが適当である。
・ 具体的には、労働者に対するセルフケアに関する情報提供や保健指導、ストレスチェック結果の集団的分析に基づく職場改善の取組、職場改善に関する管理監督者向け研修等を含めた総合的な対応を行うことが望ましい。
・ これらの取組について、衛生委員会で調査審議することが適当である。
・ ストレスチェックの実施率や実施方法、効果について、事業場内でPDCAサイクルで評価・改善を行うことが望ましい。
メンタルヘルス推進室 ~事業場内メンタルヘルス推進担当者の奮闘記~
ゼロからメンタルヘルスの取り組みを進める際、すでに働いている従業員の方々がその業務を新規に行っていく際の参考となり得るような情報が、厚生労働省からも公開されていますので、ぜひご活用ください。
第1回 何から始める?メンタルヘルスへの取り組み。
第2回 厚生労働省の指針を見つけた!
第3回 そうだ、衛生委員会があるじゃないか。
第4回 大切なことは関連部門との連携!
第5回 相談窓口がいよいよスタートします。
第6回 相談することへの壁?
第7回 管理監督者の研修でさらに一歩前進!
第8回 ストレスチェックをはじめよう!
第9回 教育研修の大切さとこれからのメンタルヘルス推進室