改正労働者派遣法が成立 短期派遣は禁止へ
平成24年4月6日、改正労働者派遣法が公布されました。30日以内の短期の派遣が原則禁止されるなど、規制が強化されることになります。改正労働者派遣法は平成22年4月の通常国会に提出され、これまで継続審議されてきました。当初の法案にあった登録型派遣や製造業派遣の原則禁止は削除され、禁止される短期派遣は「2カ月以内」から「30日以内」のものに短縮されました。改正法は、交付日から6ヵ月以内(直接雇用申し込みみなし制度は3年経過後)に施行されます。ここでは、主な改正内容を見ていきましょう。
短期派遣の原則禁止
日雇い派進や30日以内の短期派進が原則禁止されます。ただし、専門性があり労働者保護に問題のない業務については、禁止業務から除外されることになりました。除外される業務は通訳、翻訳の業務などが予定されており、今後具体的なリストが作成されます。
グループ企業内の8割規制
グループ企業内の派遣会社が1事業年度中にそのグループ企業に派遣する人員(定年退職者を除く)の割合を8割以下とすることが、派遣元事業者に義務付けられます。主に大企業が人材派遣会社をつくってグループ企業だけに労働者を派遣するケースを「専ら(もっぱら)派進」といい、派進法では従来からこれを禁じています。大企業において本来社員として雇うべき人を不安定な派遣労働者として働かせることになるなど弊害造と判断される基準があいまいであったため、今回の改正によりグループ企業への派遣は「8割以下」という基準が設けられました。8割以下かどうかは、報告義務も課され、達成できない場合は行政により指導、勧告、許可の取り消し等の措置がおこなわれます。また、離職した労働者(定年退職者を除く)を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることも禁止しています。
マージン率などの公開義務
これまで強制力のない指針に定められていたマージン率(派遣料金と派遣労働者の買金の差額の派遣料金に占める割合)の公開が、法律で派遣元事業者に義務づけられることになりました。また、派遣元事業者が派遣労働者を受け入れるとき、派遣労働者に対して1人当たりの派遣料金の額を明示することになります。これらは、派遣労働者が不当な低賃金で雇用されることを防ぎ、待遇を確保するためのものです。
中途解除の費用負担の義務化
派遣先の都合により派遣契約を中途解除する場合の措置についてはこれまで指針に定められているだけでしたが、法律で義務化されました。派遣契約が中途解除されると、派遣元事業者はその派進労働者に残りの派遣期間について休業手当を支払うなどの費用が生じるため、派遣先が派遣元事業者に対し、これら中途解除によって要した費用を支払うなどの措置が義務化されました。
違法派遣の派遣先直接雇用申し込みみなし
派遣先が、違法派遣であると知りながら派進労働者を受け入れていた場合、派遣先が派過労働者に対して、直接雇用するための労働契約を申し込んだものとみなされることになります。具体的には、次のいずれかの行為があったときは、その派遣労働者のその時点における労働条件と同一の労働条件により派遣先が労働契約を申し込んだものとみなされます。これについては施行が3年間先送りとなっています。