高年法改正 来年4月より「希望者全員」の継続雇用を義務化
高年齢者雇用安定法(以下「高年法」といいます)の改正案が成立し、9月5日に公布されました。平成25年4月より段階的に施行されます。
高年法では、定年の引き上げや継続雇用制度の導入などにより65歳まで雇用を確保するよう企業に義務づけています。ただし、現行法では労使協定で継続雇用制度の対象者の基準を「過去○年の人事評価がB以上の者」などと定め該当者だけを継続雇用してもよいことになっています。
今回の改正では、この規定を廃止し、希望者全員の65歳までの雇用確保を義務づけることになりました。そもそも65歳までの雇用確保は、老齢厚生年金の支給開始年齢が徐々に引き上げられていることから、60歳の定年後、無年金・無収入になる人が出ないようにと設けられたものです。男性の場合、平成25年度以降は老齢厚生年金の報酬比例部分の支給も61歳以降に引き上げられますが、継続雇用制度の基準を満たさない場合は、完全に無年金・無収入になってしまうため、今回の改正は、こうした事態を防止するねらいがあるのです。
ただし、雇用確保措置の引き上げ前に老齢厚生年金が受給できる年齢の人は、従来どおり労使協定で基準を定めることができるよう、段階的に適用されます。まずは平成25年4月以降、61歳までは希望者全員を継続雇用する義務がありますが、61歳を超える人については基準に該当する人だけを対象とすることができます。継続雇用はグループ企業内でもかまいません。なお、義務違反の企業については、行政の勧告にも従わない場合、企業名の公表がおこなわれることになりました。企業にとっては人件費増が懸念されます。