厚生労働省がパワハラを初めて定義 パワーハラスメントに関する実態調査
厚生労働省は平成24年12月、国として初めてパワーハラスメント(以下「パワハラ」という)に関する実態調査を実施し、公表しました。今回の調査は、従業員30人以上の企業と、勤務している労働者に対して、実施されたものです。
※調査は東京海上日動リスクコンサルティング㈱へ委託し平成24年7月~9月に実施。
近年、パワハラに関するトラブルが増加しています。全国の労働局に寄せられた「いじめ、嫌がらせ」(厚労省のこれまでの「パワハラ」の表現)の相談件数は、平成23年度に約4万6千件でした。このようなことから、昨年、厚生労働省は「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」を設け、問題を整理し、パワハラを初めて次のように定義しています。
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同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、
業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為
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今回の調査は、この定義にもとづき実施されたものです。調査結果によると、過去3年間に1件以上パワハラに関する相談を受けた企業は全体の45.2%で、そのうち70.8%がパワハラに該当する事案だったとしています。パワハラの相談内容は、企業調査、従業員調査ともに「精神的な攻撃」が、最も多くなっています。パワハラに関する相談がある職場に共通する特徴として、企業は「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」(51.1%)を最も多く回答しています。また、パワハラの予防・解決の取り組みとして、効果を実感したものは、「管理職を対象にパワハラについての講演や研修会を実施した」(77.3%)が最も多くなっています。
《具体的なパワハラの例》
・ミスを皆の前で大声で言われる。
・一人では無理だとわかっている仕事を一人でやらせる。
・部署の食事会に誘われない。
・程度の低い仕事を名指しで命じられた。
・足でけられる。頭をこづかれた。