期間延長、分割取得など介護休業の拡大を検討  

厚生労働省は昨年11月19日、「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」を設置し、介護休業の規定を大幅に見直す方向で検討に入りました。今年の夏ごろまでに研究会の報告書をまとめ、早ければ来年の通常国会に改正法案を提出する方針です。

 

◆年間10万人が介護で離職

少子高齢化が進む中、現在、年間約10万人が介護を理由に離職しています。中でも男性の離職が増加傾向にあり、仕事と介護を両立できる環境整備が急務となっています。 介護は、育児と違って「いつまでどのくらい介護が必要となるかの見通しが立たない」ことが特徴的です。しかしながら育児休業が「子が1歳に達するまで」、育児勤務が「3歳に達するまで」と認められているのに対し、介護の場合は、介護休業と介護時短勤務をあわせて「93日まで」と非常に短い期間となっています。

また、家族が「要介護状態に至るごとに1回、通算93日」となっており、基本的に分割取得ができません。調査によると、介護をしている雇用者のうち介護休業を取得した人はわずか3.2%にとどまっています。研究会では休業期間の延長を検討するとともに、分割取得ができるようにするなど制度を見直す方針です。

 

◆フレキシブルな働き方

調査では、勤務先による両立支援、 として「出社・退社時刻を自分の都合で変えられる仕組み」「残業をなくす・減らす仕組み」を求める声が多くあがっていました。研究会の議論でも、介護の状況は個別の事情によるところが大きいため柔軟な勤務制度、フレキシブルな働き方が重要だと指摘し、たとえば、就業時間中に時間単位年休でケアマネージャーとの面談ができるようなものが必要だという意見が出ています。

 

◆社員への情報提供も重要

介護については、社員が介護をおこなっていることを周囲に伝えず企業が実態を把握しづらいという現状があります。また、社員に事前の情報や知識が不足しており、利用できる制度があることを知らないまま離職してしまうケースも多く見られるため、社員への情報提供や周知・教育も重要な課題とされています。企業は両立支援制度を利用しやすい環境整備にも努めなければならないでしょう。

 

※調査=「仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査研究」(平成21年度厚生労働省委託事業)


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