ミャンマー人材活用セミナー(2016/6/2開催)
外国人労働力に期待
2020年の東京五輪を控え、建設業界を中心に深刻化する人手不足の解消に対し、外国人研修・技能実習生制度の活用が注目されている。なかでも民政移管後、経済成長の著しいミャンマーは、親日国であることに加え真面目な国民性もあり、日本側では受け入れ熱が高まっている。そこで、『技能実習生の活用・ミャンマー人材の実情』について、デルタマーケティングのグループ企業であり、ミャンマーに拠点を持つ株式会社チャムズソリューションズは6月2日にセミナーを開催した。
セミナー講師は、桑山博愛氏(グローバル共同組合 事務長)高橋健太氏(K&Kサービス株式会社 東日本駐在所 駐在員)、鳥養純一氏(株式会社チャムズソリューションズ 代表)が務めた。技能実習制度について桑山氏からお話し頂いた他、ミャンマーとの関わりが強い高橋氏、鳥養氏からミャンマー人の気質や技能実習生の入国後の失踪についての事例が共有された。
国別技能実習生の特徴
過去には技能実習生といえば、言葉・地理的優位の理由から中国が大多数を占めていたそうだ。しかし近年中国の経済成長に伴い、人件費の面での魅力が低くなり、中国からの実習生は減少してきている。現在はベトナム、フィリピンからの実習生が増加していると桑山氏。しかし、ベトナム人実習生は入国後に失踪する研修生が多いこと、フィリピン人は陽気な国民性ということもあり男女間のトラブルを起こすことが多い傾向にあると過去の経験から語ってくれた。そのなかでミャンマー人は仏教徒ということもあり、日本の常識が通じることが多く真面目で勤勉であることが伝えられた。
技能実習生の増加と入国後の失踪
2013年は65名であったミャンマー人技能実習生だが、2014年には660名、2015年には1499名の技能実習生が日本に訪れている。彼らミャンマー人の特徴は、「基本的に勤勉、非常に素直で周囲に気を使うことができる。また、仲間意識が非常に高く、善悪関係なく助け合う。目標や目的ができたときのモチベーションが非常に高い」と高橋氏。その反面、「周りに流されやすく、物事に意見や不満があっても精神的な限界を超えるまで言わない(限界を超えた時には既に手遅れになっている)。目先の物事で判断をする傾向にある」とのこと。良い面のみを見れば大変すばらしい人材になりそうだが、悪い面のみがでたときには、来日後3か月程で失踪することもあるそうだ。
技能実習生の来日のためには彼らを受け入れる日本企業も研修費用の負担や、彼らに期待していた業務がある。様々な調整をしてきた中で失踪されては大変困ったものである。失踪は大きく分けて以下の2つのケースがあるという。
ケース①そもそも難民認定を受けるつもりで入国している「悪いことだけどお金のためには仕方ない」
ケース②自国で聞いていた仕事内容、待遇と現状が相違していることに対しての不満が募った「社会保険や税金などが給与から天引きされると聞いていなかった」
K&Kサービスでは上述の理由での失踪者を出さない為、出国前のヒヤリング、面談を十分に行っているそうだ。また、日本からの帰国後にはミャンマー国内におけるキャリアップ相談等にも力を入れ、ただ3年間を日本で過ごすだけではなく、帰国後においてのはっきりとした目標等を見つけるサポートも実施していると自信を持って語ってくれた。
ミャンマー人材との付き合い方のポイントとは
最後に、ミャンマーに拠点を構える鳥養氏が、ミャンマーに進出して4年、現在の人材確保状況について話してくれた。雇っては辞めていくミャンマー人がいる。次々と転職を繰り返し年収をアップさせていくことが彼らの目的だそうだ。また、同社で働くワーカー達の退職理由は、『バス停から15分の徒歩通勤が面倒臭く感じたから』が圧倒的多数を占めるそう。仕事の内容より外的要因に左右されることもミャンマー人の特徴。また目先のことのみを考え、同じ賃金なら楽をして稼ぎたいという考えも見受けられるようだ。人材を育成しては辞められる。その負のスパイラルを断ち切るためには、師弟関係を築くことが何よりも大切であると感じているとのこと。純朴な、そして仏教徒であるミャンマー人。信頼した相手のことは絶対に裏切らない。
また、技能実習生を受け入れる際には次の点での理解が不可欠であると教えてくれた。「ミャンマー人とひとくくりに捉えるが、ミャンマーは多民族国家。そのため、民族間のわだかまり、宗教のわだかまり、言葉のわだかまりがある。この点を上手くマネージしないと、従業員自体が不調和音をきたす」とのこと。何人かのミャンマー人が技能実習生として会社内で働くことになった場合、彼らが同じ民族かどうかというのは確認しておくべき事項のようだ。過去に民族間トラブルを抱えている民族もあれば、現在仲たがいをしている民族もある。忘れてしまいがちだが、その国の歴史を知ることは、その国の人と付き合う上では必要なことだ。
これから益々必要とされる外国人労働者の力。親日で、優しく、上司・同僚にも敬意を払ってくれるミャンマー人材。技能実習生制度の導入をご検討の企業様、新たな選択肢としてミャンマー人材についてご検討される企業様、ご質問等あればいつでもご連絡ください。
お問い合わせは弊社グループ会社 株式会社チャムズソリューションズ 技能実習生担当(03-4580-1247)まで。
※技能実習生制度とは、法務省・外務省・厚生労働省・経済産業省・国土交通省の5省共管で設立された公益財団法人国際研修協力機構(JITCO)の指導に基づき行われている公的制度であり、開発途上国の若者を日本の企業が受入れ、技術・知識を習得させ、母国に帰り経済発展に役立ててもらう技術移転による人的な国際貢献を目的とした、日本のASEAN国際協力の重要な一翼を担っている制度である