「正社員転換・待遇改善実現本部」を設置 正社員転換に省をあげて取り組む方針
厚生労働省は平成27年9月、「正社員転換・待遇改善実現本部」を設置しました。これは、成長戦略「日本再興戦略改訂2015」で非正規社員の正社員転換の重要性が指摘されたことを受けて設置されたものです。
■契約社員・派遣の3割超が不本意
近年、パートタイマーや契約社員、派遣社員など非正規労働者が増えており、直近の調査結果では、非正規労働者が雇用者全体の4割に達していました。※平成26年「就業形態の多様化に関する総合実態調査」
好景気により有効求人倍率が上昇しているものの、正社員に限ってみると 0.76倍と低水準で、正社員としての就職は狭き門です。企業が非正規労働者を活用する最大の理由は「賃金の節約」です。これを労働者側からみると、賃金の低い仕事が増えているということになります。 低賃金のために結婚できず、子供をもてない人が増えれば少子化に拍車がかかり経済は先細りします。また、非正規労働者については、社会保障の不備により将来無年金となる人が増えることも予想されます。そうなれば、生活保護など国の財政負担が膨らみます。こうした事情から、国は非正規労働者の雇用の改善を急いでいるのです。
もちろん自ら望んで非正規として働いている人もいます。しかし、非正規労働者の約18%は、正社員の仕事がないために非正規で働く「不本意非正規」だということがわかっています。契約社員や派遣社員に限って見ると3割を超える人が不本意非正規です。
■経済団体に取り組みを要請
9月に開かれた同本部の第1回会合では、平成28年1月までに5カ年計画の実現プランを策定し、数値目標を設定して不本意非正規率の引き下げを目指すことなどが決まりました。 この取り組みの一環として、10月以降厚生労働大臣が経済団体に対して非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善への取り組みを要請しています。