改正雇用保険法(案)育児休業給付、教育訓練給付の拡充
政府は1月31日、育児休業給付や教育訓練給付の拡充などを柱とする雇用保険法改正案を閣議決定し、通常国会に提出しました。平成26年度中に実施される見込みです。ここでは主な改正点をご紹介しましょう。
◆今年4/1より 育休給付、6カ月間引き上げ
現在の育児休業給付は休業前賃金の50%ですが、改正案では休業開始後最初の6カ月間に限って67%に引き上げるとしています。これまでも育児休業給付は給付率の引き上げ等をおこない受給者数が増加してきました。しかし、それでもまだ経済的な理由から育児休業を取得しなかった人が男女とも2割強存在すること、男性の取得が進まないのは収入減が大きな要因の1つと推測できることなどが、さらなる引き上げの理由です。
男性の育児休業取得を促進することは、女性の育児負担を軽減し、女性の就業率向上にも効果的であるほか、夫の家事・育児時間が長いほど第2子以降の出生割合が高くなる傾向にあり、少子化対策としても有効と考えられているのです。今回の改正案では、引き上げは当初の6カ月間に限定されているため、妻の給付が50%に下がるタイミングで夫が育児休業に入れば、妻だけが育児休業を取るよりたくさん給付がもらえることになります。
◆10/1より教育訓練給付金、最大144万円に
このほか今回の改正案で注目されているのが教育訓練給付金の拡充です。教育訓練給付金は、仕事に必要な資格や技術を習得するために自費でスクールに通ったり通信講座を受講する場合に、受講料の一部を補助してくれる制度です。現行の給付金は、雇用保険に3年(初回のみ1年)以上加入していた人を対象に、受識料の20%(上限10万円)が支給されるというものです。
近年、非正規労働者が増加し、特に若年層でフリーターやニート、失業者が増えていることが問題となっています。こうした人たちのキャリアアップやキャリアチェンジを支援するには、もっと中長期的な教育訓練が必要と考えられています。しかし、こうした教育訓練は期間が長く費用も高額になるため、教育訓練給付金の拡充が図られているのです。
改正案では現行の制度を残したまま、さらに厳しい支給要件を満たす場合に限って給付率や上限額を上げる仕組みとなっており、最大144万円の給付が受けられることになります。増額の対象となる「専門的・実践的な教育訓練」は、就業可能性が高い仕事において必要とされる能力や、キャリアにおいて長く活かせる能力などで、厚生労働大臣が個別に指定するものとしています。また、原則としてキャリアコンサルティングを受けてから受講することを求めています。ただし、企業の承認を得て給付を申請する場合は、その企業が教育訓練の必要性・有効性を確認できることからキャリアコンサルティングは必要ありません。
◆10/1より 教育訓練支援給付金を創設
さらに今回の改正案には、長期の訓練期間中の生活を支援するものとして教育訓練支援給付金の創設が盛り込まれています。これは45歳未満の離職者が「専門的・実践的な教育訓練」を受講する場合であって、失業給付がもらえない場合に、失業給付(基本手当)の半額を給付するというものです。ただし、これは平成30年度までの暫定措置となっています。
他に、4月1日から再就職手当の拡充、解雇や雇い止めによる離職者に対する暫定措置の延長が予定されています。再就職手当については、再就職で賃金が低下した場合に、6ヵ月間職場に定着したことを条件に、その間の低下した賃金を一時金として追加的に給付するという案になっています。